2012年12月21日金曜日

ビッグシルエット考察 2012/12/21

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ビッグシルエット考察
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[レディス]トレンドチェック
撮影:原宿 曇り 16℃
2012年11月5日(月)
<色:#ffff00>★★★★v
流行鮮度:高い


(・∀・)ノ゛
モード、エレガンス、POP、個性派(クリエイターズ)、アメカジ
あらゆるファッションタイプで、ビッグシルエットが確認できるシーズンとなりました。
今回はこの傾向の全体感を把握するために、
タイプの異なる5つのルックを採り上げ、それぞれをチェックしてゆきます。
そして共通するディティールは何か?
小物雑貨を含めた着こなし方にフォーカスします。


   
1-【ブリティッシュ・ベース】
「ニットコート」がメインアイテム。
コートのボリューム感に対して、ボトムは厚地のタイツでフィット対応しています。
ちなみにこの着あわせ方は、上海女子の定番ですね。また
ボーラーハットでブリティッシュ・ベースであることを印象づけ、
”赤い靴”で女の子(ガーリー)テイストを感じさせています。



   
2-【メンズ・モード】
「デザインコート」がメインアイテム。
オールブラックではなく、チャコールグレーを持ってきたところが差別化になったと思います。
大判ストールで首まわりをさらにボリュームアップ。
ボトムはスリムフィット型の対比。シューズはロングノーズ、長さでバランスを取りました。



   
3-【エレガンスミックス】
「ウールコート」がメインアイテム。シックなグリーンと少しドレープを感じるシルエット。また
何となくゴシックガールを連想させるような、ニーハイ+ストラップ付きのプラットフォームの組み合わせが印象的。



   
4-【アメカジ・ボーイッシュ】
「デニムブルゾン」がメインアイテム。80S'なボーイッシュスタイルを再現。
ちら見せソックスの幅と、ヘアバンドの幅、見え方を連動している点に注目。
パンツ裾のロールアップ巾も同様ですね。



   
5-【個性派(クリエイターズ)】
他の追随を許さないような、個性的なファッションを志向するコたち。
左:「ステンカラーコート」がメインアイテム。タイトニット、ふくらはぎ丈スカート、”クロップド丈(足首)と刈上げヘアのバランス”に注目。。
右:「圧縮ウールコート」がメインアイテム。ソックス、ちら見せスカート、ネック、帽子の”帯状アクセント”連動に注目。





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2012年12月14日金曜日

上海レポート ~メンズ・タイプ分類~2012/12/14

撮影場所:港匯(ガンフイ)広場前 地下通路
撮影日時:2012年12月01日(土) 11:00~13:00 13度 小雨
目的:上海・リアルファッション調査
対象:20代~30代 男52人


(・∀・)ノ゛
タイプ分類 結果:
46.2%-カジュアル(アメトラ) (24人)
19.2%-ビジカジ(エレガンス)(10人)
15.4%-ヨーロピアン(フレンチ、モード)(8人)
19.2%-ストリート(原宿)    (10人)
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分類が微妙で難しい。。。
そして上海メンズには、日本メンズには無い(ような)カテゴリーが存在しています。
これをファッションと捉えて良いのだろうか・・・そのような意味あいのものです。
あえてカテゴリーを設けるならば、「上海クラシック・カントリースタイル」。
ファッションピラミッドでポジショニングすると「ラガード(遅滞者)」でファッションに興味のない人達。
ならば最初から省略すればいいじゃん と言われそうですが、無視できないくらい多数存在しているんです。

2時間で52人、なかば無理やり撮った写真、原宿だったら200人は撮っています。でもこれがメンズファッションの現実として見ることもできます。
全体を通してファッション成熟度は恐ろしく低い。日本と比較しようが無いくらいのレベルであります。ただこれはリサーチ全体を通しての感想で、見方を変えると正しくない。


成熟度の低さに対する反論として、
現地のファッションに詳しい人物に、エスノグラフィ的アプローチからご教授いただいたのが富裕層のファッション消費についてです。
ブランディングを志向する企業にとって、知っておいても良いイメージだと思います。

富裕層ジュニアを大雑把に分けると、
1-国内で消費しない「超富裕層ご子息」と、
2-国内で署費する「金持ちのご子息」の2種類に分類できるようです。
1-のご子息は、そもそも上海で買い物しないとのことで、リサーチの現場で目撃する機会はほとんど無い(と想像します)。
2-のご子息は、路面のセレクトショップなど先端的環境で買い物するとのことで、リサーチの現場で目撃する機会は少ない(と想像します)。

この点に関しては、別途本格的な調査が必要になると思います。

プロローグとして、
1-「Juice」2-「AEGIS」3-「initial(イニシャル)」4-「Izzue」の順で店を視察しました。

1-陳冠希(エディソン・チャン)のセレクトショップ「Juice」
http://clotinc.com/retail/
2-西海岸のセレクトショップ的雰囲気の「AEGIS(イージス)」巨鹿路
http://www.projectaegis.com/home.htm
3-トラッドを中国人的解釈した様なデザイン?の「initial(イニシャル)」新天地
http://www.initialfashion.com/
4-ご存知 IT系の香港ブランド「Izzue」新天地
http://www.izzue.com/



アイデンティティピラミッド(基本フレーム)に照らしてみると、進むべき方向性が垣間見えてきます。
ターゲット(顧客像)を中心に据えた商品戦略は、「誰に何を」を。
立地を中心に据えた出店戦略は、「どのように届けるのか」を。
どちらもブランディングには欠かせない重要な基礎となります。
今回の調査で「ストリート」比率が予想していたより多かったわけは、観測地点(観測環境)にもありそうですが、
上海メンズファッションの影響度のベクトル・ピラミッド構造をしっかりと押さえておくことは重要だと思います。



●用語説明
「エスノグラフィ調査」は、異民族を理解するための調査方法です。
文化の行動様式を解析し「生活者」の日常行動を包括的に知ることで、潜在的な価値や欲求を見出す仮説探索、発見型の手法として注目を浴びています。
特徴は、”最初に仮説を立てない”。定量調査とは真逆のアプローチ。

●エスノグラフィのおおもとは、
”大衆の中にこそ心理がある”との立場をとることですが、
大衆の意見に迎合する、ポピュリズムのようなものではなく、
大衆の原像を読み解こうとする態度であります。
「原像」とは、一番もとの根源的な像のこと。

●エスノグラフィへの反論:
表層と深層・・・
民衆社会における”関係の絶対性”を観測することが真であるという態度は脳天気である。
民衆が置かれている”システムや制度”の観測がその上にくるべきだと思います。
政治・経済、環境など幅広く、注意を払っておく必要があるでしょう。




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2012年12月13日木曜日

上海レポート ~2.レディス・タイプ分類~ 2012/12/13

撮影場所:港匯(ガンフイ)広場前 地下通路
撮影日時:2012年12月01日 11:00~13:00 13度 小雨
目的:上海・リアルファッション調査
対象:20代~30代 女70人

(・∀・)ノ゛
タイプ分類 結果:
47.0%-カジュアル(33人)
26.0%-エレガンス(18人)
 5.7%-モード  (4人)
 5.7%-ボディコン(4人)
 7.1%-POP    (5人)
 8.5%-フェミニン(6人)
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分類が微妙で難しいんです。。。
日本のファッションスタイルを基準に分類してしまうと、矛盾だらけで作業が前に進みません。
よってそこに存在する曖昧さは何か?を事前に開示し、”分析前の前提条件”としておきます。
分類が難しい理由をひと言で言うと、未熟である ということだろうと思います。
日本のようなミックススタイルの果てに分類が難しい、という類のものではなく、
全体として発展途上ですし、人々のファッションに対する意識もまだまだ低いかもしれません。
前回はファッション誌を使ったタイプ分類、合計6つの項目で構成比率を把握しました。
今回も同じフレームを使用します。が、サンプル数が前回の1/6であることを明記しておきます。
(注:前回のレポートは開示できません)

「このひとエレガンスじゃないじゃん?」...「いや、理由あってここに分類したんだ」・・・自分でも突っ込みながら作業は進みます。

参考情報として前回のタイプ分類における結果を記載しておきます。
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”上海のファッションタイプはおおまかに、
「カジュアル」「エレガンス」の2種類で全体の82%を占めていた。
相対として、ヤング層のおしゃれ層はエレガンスタイプに傾倒し、
富裕層向けの商業エリアで見た OLキャリア層のカジュアルファッションタイプは、
ヤング層よりもおしゃれで感度が高かった。”
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●「カジュアル」タイプは、
前回は全体の47%、今回も47%でした。
●「エレガンス」タイプは、
前回は全体の35%、今回は26%でした。
●「モード」タイプは、
前回は全体の8%、今回は5.7%でした。
●「ボディコン」タイプは、
前回は全体の6%、今回は5.7%でした。
★「POP」タイプは、
前回は全体の2%、今回は7.1%でした。
★「フェミニン」タイプは、
前回は全体の2%、今回は8.5%でした。


”分析前の前提条件”
「フェミニン」..
前提としてこのカテゴリーは、日本のフェミカジ(フェミニンカジュアル)とは大きく概念が異なっています。
日本のルックを思い浮かべてしまうと、フェミカジは上海にはほぼ存在しない...となってしまいます。が、調査の目的を
”将来予測”とすると、未来のあるべきフェミカジを予感させるようなルックはすべて適用範囲内となります。
判断基準としては、「フェミカジの要素を持ったルック」、「ガーリーテイストを持ったルック」です。
a,ラッフルのミニスカートを1点取り入れているだけのルック
b.Aラインのポンチョとショートボトムのシルエット
c.襟がファンシーにラウンドしたデザインコート
d.ニュアンスパステルなど柔らかな色味・雰囲気を感じるルック。

「POP」..
こちらも日本のPOP感覚とは異なっています。例えば全体的にシンプルな着こなしが多い中、柄x柄の着こなしは
こちらの環境下では ”POP”に該当すると判断しました。
ポイントはここでも、将来予測 であります。現在のフレームより未来の”ベクトル”を重視します。
またそのこととは別に、情報の少しの乱れがブランド政策に大きく影響しますから、
1人の目でしっかりと調査、分析し、議論することが重要なのだと思います。
ブランド毎に調査員を配置できるのが理想ですね。


”香港のファッションタイプ比率に近づいている”
前回の調査(上海-香港-東京)によると、東京に近い構成比率を持つ都市は香港でした。
「POPタイプ」「フェミニンタイプ」の比率が高いことがポイントで、上海で最初に感じた視覚的変化は、
アイテムの変化によるものだけでなはく、ファッションタイプの構成変化によるものでもあったことが数字で分かりました。
上海ファッションの成長を予測するうえで参考になるのが香港のストリートです。
日本フレンドリーな印象があり、とりわけメンズストリートカジュアルにおいて親和性が高いと感じました。
ちなみに香港では、CDショップ、書店、TV番組、ネットなど日本が現地の生活の中で、どのように浸透しているのか?
その伝達経路をおさえておくことも大切だと思います。




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2012年12月12日水曜日

上海レポート ~1.序章~2012/12/12

16年間 毎週実施している原宿のフィールドリサーチを他国でやってみたらどうなるだろう?
出発点はここでした。
2012年2月、上海~香港~東京の3都市間比較リサーチを実施し成熟度を比較しました。
そして2012年12月、2回目となる3都市間比較リサーチを実施しました。(星~上海~東京)
このブログに掲載している情報は、比較分析を行う前のデータであります。
星(シンガポール)のレポートは合計10回で完了し、今回から上海レポートに移ります。

撮影場所:港匯(ガンフイ)広場前 地下通路(地下鉄1号線 徐家匯(シージャーフイ))
撮影日時:2012年12月01日 11:00~13:00 13度 小雨
目的:上海・リアルファッション調査
対象:20代~30代男女、
方法:上海で比較的お洒落な層だと感じた人物をランダムに撮影した。




背景:
●観測地の選定について
上海リサーチは2回目となります。
前回は広く上海を理解する目的で、人民広場、南京西路の2か所で2日間調査しました。
今回は、”上海のファッション層が多く集まる場所”というリクエストで、
上海ファッション事情に詳しい人物のアドバイスを受け「港匯(ガンフイ)広場」に決定しました。
港匯広場は、総面積130,000平方メートルの巨大な商業施設で、250のブランドテナントが入居しています。
撮影ポイントは雨天という理由もあり、地下鉄徐匯駅から続く地下入口としました。
右手にit(スモールアイティ)、右手にZARAがあります。
また今回はメンズのリサーチを追加しました。

●レポートの利用目的
「アジア・グローバルブランド」を使命としたとき、3都市間比較リサーチの内容は、
「業態開発フェーズ」、「運営フェーズ」のおおきく2種類に分かれます。
前回、業態開発フェーズに対応した調査を実施しましたので今回は「運営フェーズ」を意識したレポートとなります。
さて「運営フェーズ」における3都市間リサーチの意味は何でしょう?
期待する成果は、ブランディングとマーケティングの両立です。
ブランドの世界観を保ちつつ、各国に売上を求めるには、情報力が必要です。
相手国・相手地域のマーケットを研究し、相手以上に良く理解する。
それでも、ウチのブランドの方針はこうだよ!と言えることがブランディングにおいて重要なのだと思います。
また継続して複数都市間を比較リサーチすることで、
情報格差を利用したマーケティングが有効になります。
世界にはファッション成熟度というヒエラルキーが存在しています。
この階層差はある商品の価値に対して、「見える人、見えない人」の2種類に分断しているようです。
世界にはその地域独自のローカルトレンドが存在しており、日本のファッション成熟度はアジアの頂点にあります。
「日本に居ては分らないこと」は「上海に居てこそ分かること」となりますし、
「日本に居るからこそ分かる」は「上海に居ては分らないこと」であります。
(これは、良い悪いの話では無く戦略として情報をうまく利用すべきだという意味です)
レポートの適用範囲は、1-商品開発(MD)と2-店頭販売(VMD)です。
1-商品開発(MD)での使用方法は、アイテム分析、カラー分析、、素材分析、デザイン分析など。
2-店頭販売(VMD)での使用方法は、コーディネート、着こなし方が主になります。


総論:
今回の上海出張での手答えに、生活者に近い環境に触れることができた事が挙げられます。
出張と記載した理由は、主目的が調査でなく、中国内販で実績を誇る総合商社のデザイン実務の仕事だったからです。
「上海に居るからこそ、分かること・分らないこと」
「日本に居るからこそ、分かること・分らないこと」
双方について話し、思いを巡らせることができました。
また前回と比較して感覚的に思ったのが、アウタートレンドの変化です。
比較条件としての問題、時期(気温)と観測場所の差 はありそうですが、
複数エリアでの視覚化できない目視情報を含め、向上を確認しました。
とりわけコートルックに前回との差を感じることができました。
前回、原宿を100とすると上海のファッション成熟度は30点でした。
さて今回はどのように進化したのでしょう?

次回は写真を使って個別具体にレポートします。